PACSは無料で手に入る?その管理に必要なスキルとは

PACS

中小病院におけるPACS導入について

pacs1

 

 

PACSを導入したいが初期費用が・・保守費用が・・と考える中小病院やクリニックは多いと思います。

実際に色々な業者から見積もりを取ると数百万から場合によっては数千万とまだまだ高額な商品である上に月額保守費用もかかり、導入を見送る施設も多いようです。

そこで少しの努力と自己管理により自分でPACSを構築、管理する方法をご紹介しようと思います。

 
 
 

注意点

 

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導入において初めに書いておかなければならない注意点が数点あります。
  1. 導入するとサーバー管理は自ら行わなければなりません、サーバーダウンを起こしてもすぐ復旧できる設備をお勧めします。

  2. 薬事認定機器が最低1機無ければ電子画像管理加算を加算することはできません、しかし診療補助・参照に使用するPACSには薬事認定の必要がありません。ルールを守った上、自己判断でご導入ください。

  3. このページでの説明はPACS導入をお勧めしていますが、責任は一切お取りできません。自己責任にて導入、管理を行ってください。

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初めにサーバーとViewer選び。

 

server

PACSは

Server:サーバ  『画像を溜め込み監理する。』

Viewer:ヴューア 『Serverから画像を取り出して見る。』

この2つのソフトで成り立っています。

 

それぞれにフリーソフトが多くありますが今回は一番安定稼働する,TOP3 Serverを紹介します!

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①Osirix

MAC環境でインストールします。日本でのシェアも多く、ポピュラーなServerですが、ちゃんと使いたければ、無料ではなく有料機能に手を出さなければなりません。

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②DCM4CHEE

WebベースのServerです。
Webのため、電子カルテとの連携など朝飯前の高性能Serverですが、導入や管理は若干難易度高め。

[btn]DCM4CHEEインストールマニュアルへ[/btn]

[/aside] [/col3] [col3] [aside type=”boader”] conquest

③Conquest

初めてPacs構築ならこれ!
機能や速さも申し分ないし、導入や管理が恐ろしく簡単。
ただクラサバ型のため、apacheなどを使わないと電子カルテなどとの連携は不可能。

[btn]Conquest Serverインストールマニュアルへ[/btn]

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の3つのServerがもっともポピュラーです。安定稼働という概念では世界中で使用されているソフトという事もあり

『メーカー品を優に凌ぐ実績があります。』
 
 

またサーバーに送られてきたDICM情報を管理するデータベースにSQLを使用します。
(当院も5年Conquest Serverを使用しましたが、安定力は半端ないです)

代表的なviewerソフト(無料)

[colwrap] [col3] [aside type=”boader”] K-PACS

K-PACS

Conquestと最も相性の良いViewer
現在では開発は終了しているが現状でも無料とは思えない程の高機能を備え、満足間違いなし。 [/aside] [/col3] [col3] [aside type=”boader”] rad

Radiant

高速Viewerとして名高い。
何と言っても、コマンドラインから直接画像検査を呼び出すことが出来るため、色々なシステムとの連携が可能。
万能Viewerだが、永遠に使うためには課金が必要。 [/aside] [/col3] [col3] [aside type=”boader”] cadx

ginkgo cadx

VRなどの機能を備えている。無料だが評価は低い。 [/aside] [/col3]

 

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Weasis

DCM4CHEEと最も相性の良いViewer

次いでOsirxとの愛称も良い

Conquestとの接続も可。

URLリンクにて外部から直接検査を読み込む事が出来るため、電子カルテなど様々なシステムと連携可能な万能Viewer。

当院ではWeasisを使用しております。

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[col3] [aside type=”boader”] oviyam

oviyam

DCM4CHEEと相性の良いViewer

これまたダイレクトURL機能により外部より直接検査を呼び出せる。

i Pad用のi OviyamやMayamなど同時開発が進められているが、進歩は遅くバグも多い。

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PACSを監理するために必要な前知識は多くありませんが下記記事は読んでおいてください。

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薬事の必要性と知識

yakuji
現在2016年、薬事認証のPACS以外での診断や電子画像管理加算の算定は薬事法違反です。

また、医師が画像診断を下す際に使うPACSには薬事が必要です。

しかし、言い直せば、画像診断に使わないPACSは参照端末と呼ばれ、そこには薬事が必要が無いと言う事です。  

極端なことを言えば放射線科医が常駐し、全件読影をした後診察を行っている病院では、読影室のPACS1台以外は全て薬事の不必要な参照端末で良いという事になります。

後は、放射線科医が不在の、時間外撮影を当直医が見る、場所を決めておき、(救急外来用PACSなど)配置すればその他は全て無料のフリーPACSで良いのです。
つまり、高価なServer機に薬事は不要!看護部や放射線科、検査科などに置かれているPACSには薬事は必要ない。

ここをフリーPACSの活躍の場!として導入計画を立てれば、超安価にPACSを導入することができます。

freepacs

薬事認証機を読影室など主に診断を行う場所に配置し、他のViewerは参照用として御使用ください。

ここでお薦めする薬事認証PACS Viewerは新薬事法認可のソフトウエアです。
昔は、薬事認証PACSといえば、高精細モニタ、ハードウエア、ソフトウエア、マウス、キーボードなどの全てを商品として薬事認証登録しなければいけませんでしたが、
薬事法改正があり、今はソフトウエアだけに薬事認可を通せば、その他は何でも良くなりました。
そのため、ソフトウエアだけのダウンロード販売などが実際に始まり、PACS業界は相場が大崩している最中なのです。

 

保守と管理

私は設定より保守管理やLAN構築におけるセキュリティーを最も重要視しています。少し前にも書いたようにサーバーは同じ設定の物を1個予備として置いておくのが望ましいと考えます。

当院のように救急指定病院などでは24時間サーバーの電源はつきっぱなしです、夜中にいきなりサーバーダウンしてしまう可能性を想定して、IT管理者不在時にサーバ復旧しなくても画像閲覧ができる環境を作る必要があります。
そのためハードディスクはネットワーク対応のものが必要になります。

ハードディスクも最近はRAID対応のものが安くなってきていますが、これも冗長化の必要があると考えています。

死んでもデーターは守ると一人で意気込んでいますが、現在邦和病院ではPACSデータベース2セット、PACSサーバー4台(予備機含む)外部ストレージ6台(バックアップ含む)で構成されており、震災などでも3台までなら同時に潰れても何とか復旧出来るように構築してあります。
予算に応じたPACS環境例です

安価型

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殆どのPACSベンダーが持ってくるセット内容と思われます、Server機の故障には対応できません、NASの故障時は迅速に対応でき、NAS双方にRAID6などを導入するとデータの安全性は高いがやはりServer機が故障するとアウトという面から考えるとお勧めできる内容ではありません。

準安価型

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上図の超安価型と予算もそれほど変わらない。
Serverを2台にすることでServer機の故障にもNAS故障時にもK-PACS内のサーバ参照先を変えるだけで止まらないPACS環境を実現することができる。
お勧めする環境の中で一番安価です。

安全型

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これが出来たら言う事なし!2台のServer機の内最低1台のNASを冗長化、さらに長期画像保管に対応するため、ある程度時間のたった画像は過去画像専用サーバに移すことによりメインサーバの負荷も軽減できます。

 

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